大判例

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大阪高等裁判所 昭和27年(う)1649号 判決

被告人は、原判決は自分が焼こうという意思で本件を犯したように認めたが、自分には窃盜の意思はあつたけれども人の物を焼こうなどという意思は全くなかつたのであると主張する。

しかし、原判決の認定するところによると被告人は雲竜院の土蔵の床下から床板の一部を焼切つて土蔵内床上に忍び込み宝物を窃取することを企て、三月三十一日午前一時頃右土蔵裏空地で焚火し燃焼している棒二本を持つて土蔵東側の床下通風窓から床下に忍び込み、南蔵床下西北隅において東西に渡された根太と床板の間に右二本の棒を当て口でその炎を吹き起したというのであるから、原判決も被告人が本件土蔵を焼こうという意思があつたとは認めていないし、判示もしていないのである。しかし原判決は右の事情で床板を焼いた行為が放火行為に当り、その結果土蔵内部の大部分を焼失させたので放火の既遂として処断しているのである。

たとえ被告人のいうように土蔵を焼こうという目的がなかつたにしても、窃盜の目的を達する手段として放火行為をした以上放火罪の責任を免れるわけにはいかない。またたとえ本件床下だけを焼く目的であつてもこの床板を焼いた場合には、土蔵が焼ける虞があることが明らかであるから、本罪の成否を左右することはできない。殊に原判決挙示の証拠によれば被告人は本件土蔵が焼失する結果を発生するかもしれないことを予見しながら、本件床板を焼いた事実が認められるから、たとえ被告人の目的が専ら窃盜にあつたとしても放火罪の成立は明らかである。

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